近年における臨海部産業立地の背景・特徴と今後の展望

摘要

近年における臨海部の産業立地は、従来とは異 なり、“加工組立型産業”を中心に、2004年頃から 立地面積の急速な増加傾向がみられる。立地件数 も加工組立型産業は堅調に推移している（図1）。 従来までの臨海部の産業立地の捉え方は、原材 料を輸入に依存し、かつ大きな装置すなわちプラ ントで「規模の経済性」を発揮しなければ国際競 争力を維持できない基礎素材型産業が、港湾のあ る、大規模面積を有する臨海部へと立地するとい うのが通常であった。さらに国家政策としては、 それを助長すべき新産業都市、工業特別地域を指 定し、（内陸型の松本諏訪地区以外は）臨海部に港 湾を整備し、大規模用地を造成し、大規模な基礎 素材型産業を立地させるという産業立地政策であ ったと考えることができる。