伊勢湾BCPの策定に向けて: 南海トラフ地震発生時における港湾機能の早期回復を目指して

摘要

平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では、凄まじい威力の津波が沿岸に来襲し、多くの人命•財産が奪われる未曾有の被害がもたらされました。今後30年以内の発生確率が70%程度とされる南海トラフを震源とするM8〜9クラスの巨大地震では、大規模な津波が懸念されており、中央防災会議の報告によると、地震によりもたらされる経済的被害も甚大なものになるとされています。中部地域は、「ものづくり産業」の集積地として我が国の製造品出荷額の約1/4を占めるなど、日本経済を支える重要な役割を担っています。この地域が甚大な被災を受け、産業•物流機能の回復が大幅に遅れた場合、我が国のみならず世界規模で大きな影響を及ぼすことになります。臨海部には産業•物流の拠点として多くの企業が集積していることから、大規模災害時における港湾機能の確保のための事前防災•減災対策の重要性が高まっています。本稿では、大規模災害発生時における港湾物流機能の早期回復を目的として平成27年に策定予定の「伊勢湾BCP」に関する取り組みについてご紹介します。