TradeLens (トレードレンズ)について

摘要

2018年12月にコンテナ海運世界最大手マースク社とIBMが主導でブロックチェーン技術を活用した国際物流ブラットフォームTradeLensを商用化してから2年半が経過した。本稿ではTradeLensの中核技術であるブロックチェーンが国際貿易にもたらすィンパクトとTradeLensの概要及び展開状況を解説する。デジタル技術を駆使して業務プロセスを変革し、顧客体験を最大限に高めるデジタルトランスフォーメーションは、今日のビジネスにおいて重要なテーマである。しかし、コロナ禍で明らかになったように現実にはいまだに紙中心の非効率な業務プロセスが多く残っている。その代表例が国際貿易分野である。国際貿易プロセスを効率化するには、介在する多くの関係者からタイムリーな情報収集が必要となる。従来から各国の税関·港湾や取引先との情報連携を効率化するEDI(Electronic Data Interchange)システムは存在するが、部分最適にとどまる。全体最適の実現には、信頼のおける第三者が情報を集中管理する必要があるが、複雑な国際貿易システムを一手に担うのは一筋縛ではない。