琉球石灰岩層に支持したニューマチックケーソン基礎の事例

摘要

沖縄県内に広く分布する琉球石(灰)岩層は,未固結層や固結塊状部まで強度のばらつきが大きく,また空洞が複雑に存在するため土質力学的な取扱いが難しいことが知られている。また,礫分が多く粒径幅も広い未固結層はコア採取が困難であることから,室内試験による力学特性が把握できない状況にあった。来年1月に開通予定の伊良部大橋の伊良部島側取付橋梁基礎工では,固結層•未固結層が互層をなす琉球石(灰)岩層が地盤全体で抵抗するものと見なし,固結•未固結層の多層地盤として扱い,琉球石(灰)岩層に着底したケーソン基礎の支持力設計を行った。未固結層の強度定数は高品質なGPサンプリング試料による多段階三軸圧縮試験で力学的特性を確認し,空洞の有無は二次元比抵抗探査で,また地盤強度は観測施工と支持地盤での平板載荷試験によって確認した。調査·設計·施工のいずれにおいても,厄介といわれる琉球石(灰)岩層に支持したニューマチックケーソン基礎の事例を紹介する。