場所打ち拡底杭の引抜き耐力の評価

摘要

建築物の基礎に浮上がりを生じさせる外力は，地下水位の高い地盤において常時および洪水時に発生する水圧による浮力，塔状比の大きい建物における地震時あるいは暴風時の転倒モーメント，偏土圧による転倒モーメントによる荷重などが考えられる。従来の引抜き力に対する対策は，柱(支承)に引抜き力を生じさせないとする基本構造計画を前提として，建物荷重およびフーチングゃ杭自重の増加による常時軸力の増大，または本設地盤アンカーの実施例がある。しかし，最近は杭の引抜き抵抗を考慮した技術開発が考えられている。その例として，軸径より大きな先端羽根部を有する回転貫入杭，壁杭の中間部に節部を設ける節付き壁杭や拡底場所打ちコンクリート杭の中間部に拡径部を多段に配置する多段拡径杭工法などがある。引抜き力が有効である杭の中には施工上制約の厳しい耐震補強工事にも適用されている工法もあり，適用範囲の広がりを見せている。