ある補強土壁の変状事例から学hだ教訓と課題

摘要

別稿では，兵庫県内の異なる3種類の補強土壁の変状と対策事例を紹介し，以下の8つの教訓と課題を得たことを述べた。•教訓1：集水地形に施工する補強土壁では，壁の背後に谷水が滞水して補強土壁に水圧が作用しないための排水対策が必要である（縦断排水の課題)。•教訓2：細粒分含有率れが大きい盛土材の使用は好ましくない（盛土材料の適否•管理の課題)。•教訓3：施工時においては，何よりも盛土の締固めが重要である（盛土の締固め管理の課題)。-教訓4：補強土壁の所定の性能を維持するためには，基礎地盤の支持力を十分に確保する必要がある（基礎地盤の許容支持力の課題)。•教訓5：補強土壁の設計•施工においては，構造技術者と地盤技術者の密な連携が必要である（設計.施工体制の課題)。•教訓6：盛土の変形が壁面変状のトリガーとなり得る(盛土の性能の課題)。