東京理科大学理学部第二部化学科秋津研究室

摘要

当研究室は著者が東京理科大学の夜間学部に移籍した2008年4月に発足して，2019年で11年が経過したところである（写真1)。専門研究分野は，無機化学•錯体化学•結晶学等の基礎研究であり，主にシッフ塩基金属錯体と種々の機能材料との有機無機複合材料の創製とその光化学などを研究テーマにしている。日本の錯体化学分野では，電子吸収-円二色性スぺクトルの解釈やX線結晶学によるキラリティーの絶対構造決定等が古くから扱われてきた。最先端の多機能性や複合系に発展させた研究とするために，近頃ではこうした無機化学的知見を応用して，環境•エネルギ一機能材料を目指した超分子金属錯体複合系の多重物性-構造相関を手がけている。「キラル金属錯体複合系」，すなわちキラル金属錯体と触媒，色素，高分子，金属蛋白質等の機能材料を組み合わせた有機-無機ハイプリッド材料の合成，ナノ界面における錯体ナノワイヤーや多孔性配位高分子の逐次構築などを行い，これらの物性評価や，直線·円偏光·自由電子レーザーなどの光照射や分光スぺクトルの解釈をしている。大学院生には，学内だけでなく共同利用施設へ出張して実験するような，活動的な研究スタイルをしてもらうことをモットーにしている。