雨天時下水活性汚泥処理法の処理原理と導入効果

摘要

合流式下水道における雨天時放流汚濁負荷の削減を目的として，既存の活性汚泥処理施 設を利用して，雨天時において活性汚泥処理水量を増加させる雨天時下水活性汚泥処理法を開発 した。 本法では，時間最大汚水量（Q_(sh)）を超える量の雨天時下水を反応槽後段にステップ流入させる ことにより，反応槽後段の活性汚泥濃度および最終沈殿池の固形物負荷の上昇を抑制する。また， 反応槽後段に流入した下水の溶解性BODは，活性汚泥による溶解性有機物の吸着により，概ね30分で60～70%程度まで急激に除去される。 これらの原理に基づき，本法による大量の雨天時下水の処理性能について，大阪市の下水処 理場において27回の実運転調査を行った。この結果，最大で.48～4.62Q_(sh)（平均2.70Q_(sh)の雨 天時下水に対して平均でSS 9.3 mg/l，BOD 7.7 mg/lの処理水質が得られ，安定した運転を行う ことができることを確認した。また，このうち4回の実運転調査において簡易放流を行う従来 の方式と比較したところ，1降雨あたりSSで59.1%～90.7%（4降雨平均で73.2%），BODで 26.3%～77.6%（4降雨平均で61.0%）の放流汚濁負荷量を削減できることを確認した。 本論文では，この雨天時下水活性汚泥処理法の処理原理を明らかにし，本法が合流式下水道改 善のための雨天時下水処理の有効な手段であることについて論述する。