中空糸気液接触方式を用いた消化ガスからの二酸化炭素除去技術

摘要

下水処理場から発生する消化ガスはメタン60％，二酸化炭素40％で構成されてお り，二酸化炭素が燃料としての価値を下げている要因となっている。筆者らは，消化ガスからの 二酸化炭素除去を目的として，中空糸気液接触器を用いた新技術を開発した。本方式は，多孔質 疎水性中空糸をモジュール内に充填し，中空糸内部にガスを，外側に水を流すことにより，大き な気液界面を形成し，効率的な物質移動が可能である。消化ガスを用いた実証試験を行い，以下 の知見を得た。 1.精製ガス中のメタン濃度を安定的に90％まで向上可能であった。 2.水温が高くなると精製能が低下するが，接触比の調整で精製ガス中のメタン濃度を維持できた。 3.新規に考案した二段の脱気工程により水の循環使用が可能となり，補給水量を最小限にする とともに，精製ガス中のN_2とO_2の濃度を抑制することができた。 4.浮遊物質が十分に除去され，かつアルカリ度を適度に含んだ清浄な水の使用が好適であった。 5.大きな容積負荷を取ることができ，コンパクトな設備構築が可能であることが明らかとなっ た。