震災レジリエンスと環境共生:人口減少社会における復興とは

摘要

東日本大震災は東北地方の沿岸に甚大な被害をもたらし，福島第一原子力発電所の事故は世界に衝撃を与えた。自然の前で人間は限界があり，技術には予想外が付きまとう。大規模，高効率は安全性，持続性を約束しない。震災の反省からレジリエンスの概念が注目された。レジリエンスとはシステムが外部の変化を吸収，適応，利用する能力のことで，複雑な社会生態システムを研究する中から1970年代に生まれた(Holling,1973)。東北地方の沿岸域には交通不便なところが多いが，そこに豊かな自然と独特な文化があり，元来地域自立性が高かった。災害は災いではあるが，復興は縮退する地方社会を再生し，レジリエントな東北地方ならびに持続可能な日本を実現する機会として期待する声もあった。