東京近郊の表層水における薬剤耐性汚染と抗菌薬使用量に関する研究: 人為的汚染の可能性について

摘要

近年,薬剤耐性(Antimicrobial resistance;AMR)による感染は,死亡者数と世界経済への負の影響から世界的に取り組まなければならない喫緊の課題となっている(O'Neill,2014)。2015年のドイツ先進国7カ国首脳会議(G7)エルマウサミツトでは、AMRが主要課題のーつとなり,全世界での対策とワンへルス・アプローチの強化の必要性について議論され,本邦でも2016年より薬剤耐性アクションプランが実施されている。我々は,ワンへルス・アプローチの環境の分野におけるAMRの調査を2016年より実施してきた。前報では,東京の表層水には,AMRがどの調査地点にも存在することを明らかにした(Hachiya,et al.,2018)が,本研究では,更に調査地点を増やし,薬剤耐性の高い薬剤のーつにクラリスロマイシン(CLR)があることを見出した。東京のCLRの薬剤使用量,人口などの情報と合わせて考察レ,人為的な薬剤使用によるAMR汚染の可能性について検討をした。