海洋管理に向けた水産事業(SeaBOS)の取り組み-発足の経緯と初期成果

摘要

サステナピリティ学は,現在人類が直面しているグローバルかつ相互に関連した問題を理解し,取り組む科学的アプローチの主流になりつつある(Kates et al.,2001)。サステナピリティ学において鍵となる要素は,これらの問題と対応するソリューションに関する知識を共同で設計·構築するために,学界外の関係者と連携することにある(Norstr(o)m et al.,2020)。局地的や地域的な事例は,サステナピリティ学者がチェンジエージェント(Lang et al.,2012;Clark et al.,2016b)としてどのように社会と関わっているか,またその関わりに伴う課題は何かを示している(Wittmayer and Schapke,2014)。しかし,この点に関連して,大手企業にはほとhど注意が向けられてこなかった。既存の研究は,主にどのようにして主要ブランドがサステナビリティの取り組みに投資し,その利益を得てきたか(Dauvergne and Lister,2012),サステナビリティへの自主的コミットメント(関与)が企業行動にどのような影響をどのタイミングで与えるかについての分析に重点を置いている(Prakash and Potoski 2007,2012)。科学者がどのように企業と関わり,民間部門がどのようにして知識を科学から行動へと転換できるかについては,ほとhど明らかにされていない。