広島における原発再稼働に関する大学生の認識:エネルギー環境分野の授業における試験結果等に基づいて

摘要

本稿では，日本における原子力発電の再稼働に関する広島市内の大学生の認識に注目する.特に，エネルギー環境分野の授業（於広島修道大学，2017年度春·秋学期）における期末試験の答案内容等を検証し，以下の結果と考察·示唆を述べる.まず，結果（総解答数395名，解答率70.9%)として，再稼働に对する（1)「賛成」割合は61.3%，（2) 「反対」割合は男子よりも女子の方が大きい，(3)下級生に比べ，上級生では，「反対」割合が減る一方，「中立•意見保留」が増える.また，(4) 「賛成」理由は経済•雇用への影響，「反対」理由は事故の損害，リスク·不安，「中立•意見保留」 の理由は選択の困難さと考えられる.さらに，（5)教員は，受講生の人格形成と議会制民主主義の発展に鑑み，受講生の意見表明を促す授業の実践に創意工夫で取り組む必要がある.