新しいコンセプトの断面修復用湿式吹付け工法の開発と補修・補強工事への適用

摘要

高度成長期に建設されたコンクリート構造物は，高齢化による劣化が進行し社会問題化している。現 在，こうした構造物の維持管理の方法として，早期の適正な補修・補強を行うことにより構造物を長寿命化さ せ，ライフサイクルコストの削減を図ることが有効な手段として認知されてきている。本技術は，劣化したコン クリート部材を高品質の吹付けモルタルにて断面修復を行い，コンクリート構造物の耐久性，耐荷性などの機能 を回復させるものであり，コンクリート構造の延命化の大きく寄与できるものである。本技術を適用した場合， 従来技術であるポリマーセメントモルタルや超速硬セメントモルタルなどを用いた工法に比べ，施工性，コスト 面に加えて粉じん発生などの環境面で大きな改善が図られることをこれまでの施工実績を通して確認した。特 に，施工性やコスト面の改善につながる厚付け性能や，橋梁，高架などの振動下の構造物への適用性は，従来の 工法に比べて優れた性能を有している。 本報告では，今回開発した吹付けによる断面修復工法について，種々の品質，性能ならびに施工システムにつ いて説明するとともに，各種構造物への適用事例を紹介する。