京都市内の道路舗装率と地蔵配置の関係に関する考察 / 京都の都市空間と地蔵 その９

摘要

本研究は、都市の共用空間に置き祀られる小さな宗教施設を「聖祠」とし、その分布や配置から都市空間の特徴を捉える研究である。京都の歴史的地区（上京・中京・下京）の聖祠を調査し、その殆どを占める地蔵に注目し分布及び配置について考察してきた。前稿では、近現代の新聞記事にある地蔵の祭礼画像から、屋外における祭礼場所や祭礼形式の変転時期が昭和30～40 年代にあることを明らかにした。この時期は、道路整備や道路管理の面から道路環境が変化した時期と一致するため、地蔵の祭礼空間に作用し祭礼場所の変容要因となったことを示唆した1。しかし、具体的な道路舗装率の実態把握については課題が残った。本稿では、京都市内の道路舗装実態を明らかにすることから、地蔵の祭礼場所だけでなく、平常時の配置に与えた影響について考察する。