地方都市中心市街地の持続可能性に向けた防災建築街区等の更新に関する研究　その3　浜松市および静岡市における事業者の意向について

摘要

本稿では、防災建築街区等が多く現存する静岡と浜松において、建て替え、既存活用の両面から建物の更新手法について検討を行うための基礎資料として、事業者アンケートを整理した。建物や設備の老朽化、耐震性への不安を抱える中、共同ビルゆえの同意の難しさ、消費者の購買行為の変化が、事業継続の課題となっている状況が明らかとなった。事業者は改修によるバリューアップを図っているものの、建物の安全性を担保するための耐震診断・耐震改修については未実施の状況が浮かび上がってきた。耐震改修ともなると、まとまった額の資金調達が必要で中長期的な計画が必要となるが、建物全体での修繕積立金は行っておらず、事業者間での協議や準備組合の設置も成されていない傾向が高かった。