高経年建物の中性化劣化抑制方法の検討その 2 中性化抑制方法による鉄筋腐食の抑制効果

摘要

N 発電所およびH 発電所において，鉄筋腐食が見られた箇所の近傍で，今回の表面含浸剤を塗布して鉄筋腐食の抑制効果を確認したところ，いずれも，腐食速度は減少しており，今回の表面含浸剤の塗布効果が確認された。また，仕上げモルタルの上から今回の表面含浸剤を塗布したところ，腐食速度は減少した。今回の試験では，仕上げモルタルの厚さは5～7mm 程度であったが，この程度の厚さの仕上げモルタルであれば，仕上げモルタルの上から今回の表面含浸剤を塗布することで，鉄筋腐食の抑制効果が見られると推察された。今後は，今回のケースにおいて，仕上げモルタルの有無による表面含浸剤の深さ方向の濃度分布を確認し，モルタル塗布の場合とコンクリート塗布の場合のちがいを確認する必要がある。また，仕上げモルタルの厚さがさらに増えた場合の今回の表面含浸剤の鉄筋腐食抑制効果を確認する必要がある。