電話相談、民事訴訟にみる住宅の音響的不具合に関する実態

摘要

消費者から建築物に要求される項目には、安全性、快適性、デザイン性がある。安全性は、耐震性能や防火性能などを中心に、人命や健康に関わることから基本的に確保されなければならない性能であり、デザイン性は美的要素として要求される項目で、社会的・文化的価値に繋がる要素である。建築物の通常の利用状態では、空間の快適性が建築物の良否を分ける性能として、建物の品質を判断する重要な性能と捉えられる。建築は、人が使用・利用・居住する空間の創造であるから、快適性能の高い空間の提供が建築の実質的な目的と言えるであろう。ただし、快適性は人間の感覚に基づいて判断される要素が強く、達成すべき性能の設定は非常に難しい。よって、建築物の各種空間性能に関する不具合や消費者－設計者・施工者間のトラブルも多く、深刻な問題に発展してしまうケースが頻繁に発生している。