冷間成形角形鋼管の溶接・加工品質の向上と施工合理化に関する研究その9 溶接施工条件の合理化に向けた施工試験 試験結果その2

摘要

溶接金属およびHAZ で引張特性の確認を行った．引張試験片の採取位置および試験片を図3 に，引張試験結果を表3および図4 に示す．計測項目は降伏耐力，引張強さ，降伏比，一様伸び，破断伸びとし，降伏耐力は下降伏点とする．また，一様伸びは引張強さの98%となる歪間の中央値としている．溶接金属の引張試験片は，板厚の外側から3.5mm の位置(外側)を中心としたもの，板厚の中央を中心としたもの，内側から3.5mm の位置(内側)を中心とした3 箇所から採取したΦ4(n=1)と，板厚の中央を中心としたΦ8(n=1)の2 種類とする．HAZ の引張試験片はフュージョンラインから1.0mm が中心となるよう断面マクロに罫書いた，板厚1．0mm(n=3)とし，旋盤加工で熱が入らないよう配慮し，板厚1．0mm となるように仕上げた．コラム試験体についてはいずれの試験片も平板部から採取した．溶接金属の降伏耐力，引張強さおよび一様伸びとの溶接条件の関係を図5 に示す．図5 の入熱は入熱を全パスの平均とした場合および各パスの面積比率で振り分けた場合のそれぞれを示す．いずれの溶接条件においても，板厚の外側，中央， 内側の溶接金属の降伏耐力， 引張強さはコラムBCP325 の規格下限値である325N/mm~2，490N/mm~2 を上回っていることが確認できる．また，図3 には既往研究結果をプロットしており，本試験結果も同様に入熱に応じ強度が下がる傾向にあるが，コラムは溶接長が長くパス間温度があがりにくいため，相対的に高い傾向であることが確認できる．