宣教師ルイス•フロイスの見た戟国の覇王像

摘要

ポルトガルの宣教師フロイスが日本にやってきたのは、鉄砲伝来から20年、フランシスコ•ザビエルより14年の後、1563年のことである。その頃、日本では武田信玄と上杉謙信が川中島の戦いを繰り広げ、足利義輝が将軍への復権を目指していた。そんな血なまぐさい激動の時代に31歳で来日したフロイスは、それから35年間にわたって布教活動を行い、長崎で生涯を閉じた。その間、フロイスはイエズス会へ宛てて布教活動に関わる報告書を送り続ける。これら当時の日本の様子を詳細に記録した報告書は『日本史』という膨大な書籍としてまとめられ、歴史から民俗学まで含む非常に責重な資料となっている。そこには、一般民衆の生活や風俗、文化、慣習から当時の権力者織田信長、豊臣秀吉、徳川家康などの動向まで記されている。