医療もウエアラブルに

摘要

新しい患者さんを拝見するときに、それまでの処方や検査デ一タがなく、困ることが多い。一昔前にさかんにインターネットを使った医療ユビキタスが宣伝され、いつでもどこでも自分の医療情報を見ることができる時代がすぐにやってくるように思われたが、現実にはまだまだである。しかし、昨年、遠隔医療の制限緩和が示されたことや、測定機器の進歩から、流れは変わりつつある。腕時計型の装置で心拍数や睡眠状態を記録するものや、胸に貼り付けるパッチで心電図測定、体動、体温などを記録するものなどが応用されている。しかも記録されたデータは自動的に保存されデータべース化されるというものだ。血圧についても家庭血圧が大事だということを前に書いたが、普通の生活をしている状態での情報が予防と治療にはとても重要である。検査の正常値などより個人個人のいつもの値をよく知ることが一番なのである。例えば、私も先月、長年拝見している患者さんの圧迫骨折を採血データから見つけることができたが、これはデータの積み重ねがあってのことである。ウエラブル端末でずっと継続してデータをとれる時代はまだ先だが、確実に夢に近づいてきている。今、みなさんにできることは、アナログではあるが、家庭血圧や健診データをきちんとファイルしておくことである。