科学技術振興機構挑戦する若手研究者人工光合成研究の最前線

摘要

科学技術振興機構(JST)は3月26日，船橋市で開催した日本化学会春季年会で表記テーマの「第3回研究成果報告会」を実施。震災後わが国エネルギー政策が抜本的見直しを迫られ，PV等自然再生エネルギーの本格的利用に向けた研究開発が喫緊の課題。21年度発足「さきがけ光エネルギーと物質変換研究領域」の戦略目標は，異分野融合による自然光エネルギー変換材料および利用基盤技術の創出。本研究領域は理想的エネルギー源である太陽光による広義の物質変換を介して，光エネルギーを化学エネルギーに変換•貯蔵•有効利用し得る高効率システム構築を目指した，独創的•挑戦的な研究が対象。具体的には半導体触媒や有機金属錯体による光水素発生，CO_2の光還元，高効率な光捕集•電子移動•電極分離•電子リレー系，光化学反応場の制御，水分子を組み込んだ酸化還元系，ナノテクノロジー駆使した光電変換材料，高効率光合成能を有する植物•藻類•菌類等の利用技術，光を利用したバイオマスからのエネルギー生産，光合成メカニズムの解明等を含み，光化学，有機化学，材料科学，ナノテク，バイオテク等幅広い分野にわたる。21年以来採択研究者は年13名で，報告会は本課題の重要性，研究領域への参画を若手研究者らに広ぐ情報発信し，科学的刺激と更なる研究推進に寄与することを目的に開催。以下，特別講演，23年度採択報告等一部を紹介する。