東日本大震災から1年: 法制度，財政面でも新規措置，広域処理も進展の兆し

摘要

昨年3月11日に発生した東日本大震災の発生からまもなく1年を迎える。死者と行方不明者あゎ せて2万人にも及び未曾有の被害をもたらし，福島第一原子力発電所事故による被害も含めると，ま さに国難とも言える状況にある。今回の震災はあらゆる社会経済活動に影響を与えているが，廃棄物 分野では，膨大な量の災害廃棄物処理や，それに伴う放射性物質への対応が求められており，廃棄物業界の真価が問われている。 環境省では，震災発生後すぐに情報収集・連絡体制を整備し，発生から44分後には緊急災害対策 本部を設置し，被災地の支援にあたってきた。時々刻々と変わる状況に対応するための指針や通知を 示すとともに，財政支援措置も阪神大震災を上回る規模で実施，数次に渡る補正予算を組み，平成 24年度予算案では，前年度比5倍増の1兆円を起す大規模な予算編成を実施した。また，国が市町 村に代わって廃棄物処甥を行うことを可能にする災害廃棄物処理特別措置法，放射能に汚染された廃棄物を国が直接，実施する放射性物質汚染対処特別措置法するなど法制面での対応も進めてきた。 災害廃棄物の仮置場への撤去はほぼ完7し，今後は処理・処分の段階に移る。岩手県宮城県，福 島県で発生した2300万tとも言われる災害廃棄物を処理するためには，既存の焼却施設や仮設焼却 炉だけでは処理しきれず，環境省では，他の自治体に協力を要請，「広域処理」という形をとっている。 東京都では，岩手県と宮城県の災害廃棄物を受入れ，都内の清掃工場と民間の処理業者が処理する方針を示しており，すでに一部で処理も進んでいる。また，山形県では民間企業が災害廃棄物の処理を行っている。大阪府は昨年末に災害廃棄物の受入指針を公泉静岡県，秋田県でも災害廃棄物受入方針を表明した。復旧・復興進めるためにも災書廃棄物の迅速な処理が必要で，環境省がマスタープランで示した平成26年3月末の処理完了に向けての動きが加速している。 本誌では，震災発生から今日までの1年を振り返る。