特別なメルセデスの系譜

摘要

それは当時から、とてもミステリアスな存在だったに達いない。"Travelling Laboratory(走る研究所)"、あるいは"Laboratory on the Wheel(巾:輪のついた研究所)"とも呼ばれた、そのモデルの名前は『メルセデスC111』。1960年代の終盤に開発がスタートしたC111はこれらのニックネームが物語るように、結果的には実験車として進化を遂げていくことになるのだが、メルセデス•ベンツは当初、そのプロダクション化をも想定していた。コンパクトで軽量、そしてエアロダイナミクスに優れるボディと、パワーユニットのミツドシップという基本設計。それはこれまでのメルセデス•ベンツには存在しなかった、きわめて先進的で、そしてまた夢に満ち溢れたモデルだったのだ。