鋼床版の高耐久化への取組み

摘要

鋼床版の疲労損傷は，1990年代中ごろより報告が増加した.主に大型車交通量が多い路線の供用経過年数が10〜20年程度以上で，疲労設計が行われていない橋梁での報告が多い.2002年に発刊された「鋼道路橋の疲労設計指針」（以下，疲労指針)で疲労設計が導入され，鋼床版の疲労耐久性が画期的に改善された.しかし，この基準は，最新の知見に基づいて疲労耐久性が確保できると考えられる構造詳細や，疲労損傷が懸念される部位に大型車の輪荷重が常時載荷されないようにすることなどを規定したものであり，鋼床版のすべての疲労損傷における原因が解明され，対策が確立されたわけではない.このような状況を踏まえ，（一社）日本橋梁建設協会（以下，橋建協）では，鋼床版を制限なく安心して使えるように，高耐久化への取組みを官学と協力して行っている.