敵機に照準弾道が空を裂く

摘要

NF文庫7冊目となる渡辺洋二氏の短编集で、1982年から昨年までに本誌や『航空情報』に発表された作品9編が収められている。本書では表題どおり、戦闘機、爆撃機、攻撃機など敵目標に狙いを定め、必殺の命中弾を叩き込み戦局に寄与せんとした搭乗員、そしてそれらの機体の設計者、生産者,さらにその実力を遺憾なく発揮させるために日夜整備に勤しんだ人々の戦いの様が語られている。登場するのは「二式大艇」、「一式陸攻」、「流星」といった機体から、「雷電」、「强風」「鍾馗」、そして「疾風」といった戦闘機までが描かれているが、なかには戦闘とは直接関係ないと思われる「ユングマン」練習機を扱った作品も収められている。個人的にはこの『「ユングマン」の満洲』が一番印象深い作品だった。