木造とRC造·S造の違いを知り混構造の可能性を知る

摘要

これまでは，木造建築といっても戸建木造住宅が中 心であったが，近年，国内の森林資源の有効活用と して建築物への木材利用の観点から非住宅分野へ活 用が求められている。これまでの非住宅分野での木 造建築は，新木造，集成材建築と呼ばれた大断面集 成材を用いたドームや体育館，美術館，博物館といっ た大屋根の建築が主であり，森林資源の豊かな地域 で建てられる特殊な建築物というイメージが強く，設 計者，施工者とも限られた人たちで行われてきた。し かし,都市部での木材活用を考えると都市型の建築は 高価な土地の有効活用から多層の建築物である都市 木造の実現が必要とされる。これまで，都市部の建 築は鉄筋コンクリート造，鉄骨造が主流であり，これ らの建築は，設計手法，施工方法についても多くの建 築関係者の間で共通理解がなされていて，経済的， 合理的に建築が進められてきた。都市木造という新た な分野では，木造建築が特殊であるというイメージか ら既存の建築関係者が参入を躊躇するとともに，これ までの木造住宅にかかわってきた人たちにとっても， 多層，大規模な建築という意味で大きなハードルがあ るのが現状である。