新たな環境設計手法温熱環境に関するあたな環境設計手法

摘要

建築を取り巻く環境問題が存在するなかで，環境によい建築，建築設備の必要性が高まっている。建築物のエネルギー消費性能の向上に閨する法律(建築物省エネ法)の一部が2017年4月に施行された。大規模な非住宅建築物から段階的に省エネ基準への適合が義務化され，2020年には戸建住宅も義務化される見通しである。気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)(フランス·パリ，2015年11月30日～12月12日)においても，今後の各国におけるCO_2排出量の削減目標が定められた。これを実現するためには，建築分野において，さらなる省エネ化の促進が必要となる。一方で，省エネ化と同時に極めて重要なのが，建築空間で過ごす居住者の快適性，健康性，知的生産性である。居住者を中心に空間性能を評価する際には，その空間の規模や用途をはじめとする特性に加えて，居住者の生理的な状態や心理面についても考慮すべきである。空間の環境性能の評価対象としては，光環境，室内空気質や騒音などに関連するようなものもあるが，本稿では熱的快適性に的を絞って解説する。