鼎談：コンテクストから自律性へ、オブジェクトからフィールドへ、そして元に戻るマイケル•ヘイズ、シヤロン•ジョンストン&マーク•リー

摘要

たしかこの「新たな歴史の創造」展のきつかけになったのが、アントニ才·ネグリとマイケル·ハートの共著『く帝国〉』——彼らが歴史性に言及し、永遠の現在を問題にしているくだり——でした。まさにその指摘通り、私たちは情報やイメージが氾濫している現代社会を目の当たりにしています。世界中どこにいてもあらゆるものがたやすく手に人るようになった。学生ですらインターネット経由で無数のイメージにアクセスできる。このようにすべてがフラットで水平になることにたいし、様々な反応が見られます。たとえばレム•コールハースの仕掛けた（ヴエネチア建築ビエンナーレ2014の）「Fundamentals」（図1)などは、この永遠の現在を承認すると问時に、歴史の復権を狙ったものでしょう。彼の企画も展示内容も素晴らしかったけれども、しかしこれとて100年というスパンで区切ってそこに一切合切を詰め込んでいる以上は歴史主義の一形式にすぎません。一方、パオロ•ポルトゲージの監修した第1回ヴエネチア建築ビエンナーレ(1980)の「Presence of the PastJ (過去の現前、図2)では、むしろ歴史が1つの地平として扱われている——だから各人各様の切りとり方で歴史に踏み込むことができたのではないか。こうした経緯で「新たな歴史の創造」展に行き着きました。いまさら歴史の連続性にこだわっても意味がない、とのメッセージを込めて。もしこれが1960年代ならば、「新しく歴史をつくること」ではなく、ハロルド* —ゼンバーグばりに「ここにとどまって、新しいものの伝統と闘う」ことになるのでしようが。