小金井の家

摘要

敷地は東京の緑溢れる郊外の,古い住宅地の外れで野川の辺にある。桜並木の緑道と赤い小さな橋が出会うその場所は，敷地角にコミュニティバスの停留所があり，宮崎駿監督作品「借りぐらしのアリエッティ」にも登場する。計画する家が最初からそこに存在していたかのように，野川や桜並木のある環境に溶け込ませたいと思った。しかし家をひっそりと建てるには50坪足らずのこの敷地はあまりにも小さい。そこで，緑道を散歩する人びとに対する圧迫感を軽減するために，台形の敷地に角度を振って十字形勾配屋根を持つ十字形平面を納めることにした。桔果，建物のヴォリュームは遊歩道に最も近い所で「線」になり，「面」は遠ざかる。さらに全方位に先端の低い十字形勾配屋根の斜面が接し，長人な垂直壁面を避けることができる。