合成構造の地震被害対策WG

摘要

未曾有の大地震、予想もしない巨大地震が起こったときに、建築構造物がどのような挙動をするか。最終的には、建築構造物のどこかが壊れるだろうが、壊れた部材に粘りがあれば、何か支えるものがあれば、余力があれば、多少の損傷は生じても人命を脅かす崩壊には至らないであろう。日本で独自の発展を遂げてきた鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)構造は、鉄とコンクリートそれぞれの特徴を生かし合う合理的な構造のひとつである。例えば、コンクリートは鉄骨の座屈防止に寄与し、耐火被覆にもなる。鉄骨はコンクリートを拘束し耐震性能を向上させるなど、互いの材料の持つ欠点をお互いの長所で補える合理的な構造である。SRC構造は、内蔵鉄骨のタイプによって大きく ニつに分けられる。1981年の新耐震設計法に移行する前まで使われていた、鉄骨主材にアングルが用いられた非充腹型SRCと、1981年以降に建てられるようになったH形鋼を内蔵した充腹型SRCの2種類である。