空間計画の再編•再定義

摘要

東日本大震災から4年目を迎えて、東北地方では従来の生活の一部が限定的に再開されるようにもなり、制約のなかから日常生活への回復を指向できる時期になりつつある。同時に新たな社会をどう構築するかという目標設定において、過去(直前まで)の日常生活の空間構造(物理的空間だけでなく、社会的、文化的、心理的空間を含んだもの)をどう再編するかという計画的営みが始まってきている。土木スケールの公共事業とは異なり、建築としての復興においては、地ならしをして新築・復旧するのではなく、既存の建物やコミュニティといった資源を活かしつつ再建をしていく作業が重要で、そこには住む人々の生活が基盤となる点から、建築計画が取り組む重要性があり、またその存在意義も高まっているものと思われる。多くの研究者が災害復興の場に寄り添い、定点で観測支援を続けていることに敬意をはらいつつ、生活の記録として残すことが建築計画研究としての課題と言える。