プレス卜レス卜コンクリー卜造

摘要

2011年東日本大震災におけるプレストレストコンクリート(以下、PC)建物の被害は、他の構造形式の建物と同様に、地震動による被害と津波による被害に分けられる。地震動による構造被害では，PC梁を用いて1960年代に建設された工場における鉄筋コンクリート造柱のせん断破壊を挙げることができる。これは1995年阪神·淡路大震災においてボーリング場施設で見られたものと同様の被害形態である。阪神·淡路大震災では、体育館のプレキャストプレストレストコンクリート製屋根版(シルバークール版[scs版])が落下した被 害があった。重量のある屋根版とその支持部材との接合、および、屋根を支持する下部構造の剛性不足が被害原因として指摘された。阪神·淡路大震災後に進められた耐震補強では、SCS版を軽量な鉄骨造屋根に葺き替えたり、下部構造の剛性を高めるため、柱頂部をつなぐ梁を外周にめぐらせたりする工法が採用されてきた。