蒸暑地域における高湿度への適応——沖繩におけるRC住宅の調査結果を事例として

摘要

蒸暑地域には、世界の人口の約1/3の人口が居住しているといわれている。年間を通じて外気が高湿な蒸暑地域では、外気の変動、躯体の熱容量、室内の仕上げ、収納物、住まい方(窓の開閉など)などが結露、カビによる湿害の発生に影響を与える。この蒸暑地域では、一般的に湿害対策が確立している寒冷な地域の冬型結露対策とは違い、主として夏型結露への対策が必要であるが、定量的に十分な知見がまだ得られているとはいえない。筆者らは、蒸暑地域において生じる湿害発生のメカニズムを定量的に明らかにし、その対策を整理するとともに、建築·設備設計手法、および住まい方の提案として取りまとめるベく検討をしている。沖縄県は、日本で唯一の蒸暑地域である。ここでは、湿害と湿害につながる室内湿度、建物と住まい方における沖縄県内の事例について、調査結果とそれを踏まえたシミュレーション結果を元に得られた成果と今後検討が必要な課題を述べたい。最後のまとめでは、沖縄によらず夏期蒸暑地域が抱えている夏型結露の課題にも触れておく。