最初の学会投稿論文

摘要

1968年4月に私は菊竹事務所を辞めて独立し、26歳で環境デザイン研究所を立ち上げた。建築事務所ではなく、研究所という名称にこだわった。これからの設計事務所は研究しなければならないと考えていたからである。こどものあそび研究を始めたのは、私の処女作ともいえる宮城県中央児童館モデル児童遊園「巨大遊具の道」を児童学会で発表したのがきっかけである。発表後、ある老学者に「仙田さん、遊具はこどものあそびを規制することもあるのではないですか」と質問された時に、まったく答えられなかったからである。研究によって、「遊具は必要なものか、もし必要ならどのようなものでなければならないのか」を明らかにしようとした。その第一段階としてこどものあそびの現状を調査してみょうと思い、自分が生まれ育ったところからこどものあそび環境の研究を始めた。環境デザイン研究所の所員、アルバイトの学生と一緒に横浜の都心部と郊外部の道や公園で遊んでいるこどもたちにインタビューし、地図に遊んでいる場所を書いてもらい、いつもどういうあそびをしているかという調査を行った。同時に同じ地域でこどもの頃あそんでいた大人にも同様の調査をした。その地域でのあそびが大人世代とこども世代でどのように変わつたのかを比較しようとした。1950年代から1970年代の20年間でこどものあそび空間量が大きく減少したことを明らかにした。