だれも知らない建築のはなし

摘要

ヴェネチア·ビエンナーレ国際建築展2014の日本館企画を契機にインタビュー映像が撮影され、今年映画化された石山友美監督の『だれも知らない建築のはなし』は、73分というコンパクトな尺で、日本の現代建築史を振り返る面白い作品だった。全体の構成は、大阪万博後の70年代、ポストモダンの興隆、くまもとアートポリスなどのコミッショナープロジェクト、バブル後と現在に分かれ、磯崎新、伊東豊雄、安藤忠雄、レム·コールハース、ピーター·アイゼンマン、チャールズ·ジェンクスらの建築家や批評家が語る。各時代の代表的な建築の映像を短く流すものの、個別の説明はなく、一般人にはハードルが高いようだが、それぞれ別個に収録したインタビューが巧みな編集によって、彼らの言葉のバルとして楽しめる。作品紹介をしていたら、おそらく映画的にもたつくだろう。むしろ、歴史をつくってきた男たちの顔と表情と語りを映像で見せることに真価がある。