及川清昭氏が考える大学キャンパスの計画と設計

摘要

大学キャンパスが変わってきた。教育面では、教員による一方向的な講義方式よりも、学生が主体性を持って多様な人々と協力して学ぶという新しい学びのかたちが重視されている。アクティブ·ラーニング(能動的学修)やPBL(Project/Problem Based Learning,課題解決型学修)などはその例である。一方、研究面においては、高度化·細分化により関連施設の増加と複雑化が加速している。教育と研究のこういった変化に加えて、近年は産学官や地域との連携、国際協力といった社会貢献の役割も担いはじめている。さまざまな計画要件が多様な空間の創出を促し、従来からの教室や研究室などの基本空間は保持しながらも、建物は一層複合化し、キャンパス空間が変貌している。では、このような潮流の中でキャンパス計画·設計のトレンドと留意点は何なのか、ここでは5つのテーマに絞って簡単に述べてみたい。