野生の建築: ——オートノマス建築の可能性

摘要

芦澤竜一さんとは、3年間(2013〜15年)滋賀県立大学の同僚であった。だから、何べんか飲んだり、話す機会はあり、台風ヨランダ後のタクロバン(レイテ島)に一緒に行く機会もあった(2015年8月)。し力、し、その作品をまとめて見る機会は得られなかった。「建築の可能性」と題した「談話室」の講演会(2008年7月28日）のときは参加できず、後で学生に聞くと、「芦澤さんはすごい！」というので、残念な思いをした記憶がある。記録(『雑口罵乱3』、2009年11月）を読み返すと、それまでに手掛けた作品を順に解説するスタイルであるが、最も関心を集めたのは「GROUNDING PROJECT-HOUSE01-」(2006)[図1]というSDレビューに出展した作品らしかつた。 唯一、見たというか、実際に空間を味わって知っていたのは、守山市の琵琶湖岸に建った「セトレマリーナぴゎ湖」(琵琶湖のェコトーンホテル)(2013)[図2]である。僕が四半世紀ぶりに東京に戻るというので「お別れの会」をここで開いていただく機会があり、さらに、東京に移った後、ー泊させてもらったのである。もちろん、芦澤さんとは直接は関係なし、。今回、新作の淡路島の「SPIRAL GARDEN」(2017)[図3]をはじめ、自宅、事務所まで、わが相棒と川井操•美和絵里奈夫妻とー緒に、気になる作品をー気に見せてもらった。美和さんは、芦澤事務所のスタッフのー員と して西宮の「八光カーショールーム」にかかわっている。沖繩の住宅「風の間」(2011)、「ジョホールバルの工場」（Factory on the earth JST Malaysia, 2013)など、気になる作品はあるけれど、またの機会にしょう。折しも、これまでの仕事を集大成する作品集『RYUICHI ASHIZAWA Architects & Associates』(Nemo Factory、2017、以下RAA)が上梓された。その作品を振り返り、その行方を占う、いい機会である。