無縫製ニットウェア「ホールガーメント」

摘要

1.はじめに1995年イタリアのミラノで開催された国際繊維機械見本市（IT仙柑5）において，当社は，ホールガーメント横編機（無縫製型横編機；形式名SWG）を発表，ニット業界の長年の夢であった無縫製ニットウェアが現実のものとなった．工業用の編み機がイギリスで発明されて400年あまり，無縫製の編み機を創ることは人類にとって大きな夢であった．完全無縫製技術の難しさを示すものとして，現在ハンブルグ美術館に所蔵されている，マイスター・ベルトラム・フォン・ミンデン（1345～1415）の3連の祭壇画「天使の訪問」の一部に，「キリストの無縫製外衣を編むマリア」（図1）と題した，最古のニットを描いた絵画がある．聖母マリアが，イエス・キリストのために，セーターを編んでいる姿がそこにある．編成を機械化し，自動化するのは，まさに神業であったといえる．