希少澱粉の性質: ハヤトゥリおよび花生姜の澱粉の性質

摘要

希少な澱粉トして，ハヤトウリ（実大，実小，芽）ならびに花生姜（地下茎，根）より澱粉を精製し，ハヤトウリは南瓜，花生姜は4種類の生姜の澱粉ト性質を比較した。FE-SEMによる観察では，ハヤトウリ澱粉は球形，花生姜澱粉は楕円形や先端が突出しているものなど様々な形状がみられ，粒の厚みは薄かつた。平均粒径はハヤトウリ10.9〜19.0μm，花生姜26.7〜34.3 μm, X線回折図はトもにB型であった。ハヤトウリ澱粉の膨潤度は南瓜澱粉に比べて非常に高かった。花生姜澱粉の溶解度ならびに膨潤度は，70, 80℃で4種類の生姜澱粉より高くなつた。DSCならびにRVAの結果より，ハヤトウリ澱粉は糊化温度が低く澱粉糊は老化しにくいこト，花生姜澱粉は糊化温度が高く澱粉糊は老化しゃすいこトが明らかトなった。酵素による消化性は，ハヤトウリ澱粉は高く花生姜澱粉は低かった。酵素分解残渣のFE-SEM観察の結果，ハヤトウリ澱粉では粒表面に広がる浸食や100〜200nmの突起，紐状の起伏が連なる分解痕が観察された。花生姜澱粉は，分解初期には粒表面の引つ搔いたような分解痕ゃ表面の凹凸部分の浸食，分解が進むト粒の表面の一部が剥がれて露出した起伏状の分解面に50～100 nm前後の無数の細かい突起が観察された。