能力向上により第一線を支え続ける古強者F-4EJ改: 要撃機からマルチロール戦闘機へ

摘要

航空自衛隊の導入は1968年10月に決定され、その1号機が初飛行したのは1971年1月のことである。1980年代に入ると、新世代戦闘機の相次ぐ登場により、早くも性能の相対的な低下が懸念されるようになった。1982年2月、防衛庁はF-4EJに対してASIP(航空機構造保全プログラム)という新たな点検方式を導入し機体寿命を延長するとともに、搭載機器のアップグレードを行い、能力の向上を図るという計画を公表した。これはすでに進んでいたF-104の退役ペースと、導入が始まつたばかりのF-15の調達スケジュールから、一時的に要撃戦闘機の数が不足することが考えられたためである。また、将来的にF-1支援戦闘機が減耗した場合にもこの能力向上改修機で補完できるよう、対地·対艦攻撃能力が付与されることとなった。