世界エネルギーシステムモデルによる気候変動緩和策と大気汚染対策の関連分析

摘要

大気汚染物質の中でも粒径2.5μm以下の微小粒子(PM2.5)についての健康影響被害が懸念されている.その排出抑制に関し，気候変動緩和に伴って同時にPM2.5排出を抑制できるといったコベネフィットがあると期待されているが，PM2.5削減の便益が大きい一方，その削減費用が相対的に小さいならば，PM2.5の安価な排出削減を優先して進めることが費用効率的なリスク低減につながる可能性もあると考えられる.このような問題意識の下，発電部門におけるPM2.5起因物質であるSO_2, NO_2の排出削減対策を評価できるように改良したDNE21+モデルを用い，PM2.5対策と気候変動緩和策の関係の分析を行った.