交通手段選択の分析に基づく，持続可能な社会に向けた地域内旅客運輸システムのエネルギー消費の構造分析

摘要

2016年に発効したパリ協定において，日本は2050年までにCO_2排出量を2013年度比で80%削減させることを目標としている.旅客運輸部門のエネルギー消費量は，日本の最終エネルギー消費量の13.9%に相当する1.9 EJ/yearであり，旅客運輸部門の脱炭素化は，パリ協定の目標達成のー助となると考えられる.また，旅客運輸部門では，環境や消費者のニーズの変化から，カーシェアリングやライドシェア等の交通手段が登場し，自動車の保有から共有あるいは利用へと価値観がシフトしつつある.すなわち，旅客運輸部門では，生活の質を向上させつつも温室効果ガスを削減させる，持続可能な社会の実現が求められている.これには，交通手段選択の変化や，エネルギー転換が伴うため，エネルギー消費量やC0_2排出量の推定が求められている.そこで，本研究では，地方都市を対象として，既存の交通手段にカーシェアリング（CR)とライドシェア（RS)を導入する場合の交通手段選択の変化を，ロジットモデルを用いて分析する.さらに，持続可能な社会の実現には，自動車の電動化が求められていることから，カーシエアリングとライドシェアの使用車両として電気自動車を用いることを想定して，エネルギー消費量，CO_2排出量を推定する.これらの分析から，持続可能な社会に向けた地域内旅客運輸システムについて考察する.