政策過程の性質を踏まえた政策デザイン支援手法の検討： 日本の電力システム転換への適用

摘要

化石燃料に依存しない持続可能なエネルギーシステムへの移行の必要性については論を待たず，その実現には公共政策が重要な役割を果たす。しかし，エネルギー政策の方針転換は，これまでに構築されてきたシステムへの莫大な投資や過去の制度によって，現状を維持しようとする方向に作用する慣性力が存在するため，困難がつきものである。また，政策は合理的思考の産物ではなく，社会・組織・政治・経済やその他の文脈によって形作られるものであり，政策形成者は，他者からの影響を受ける，システムの中に組み込まれた存在である。