組織対応により効果を得た一事例:　いわゆるモンスターペイシュントの退院支援

摘要

医療情勢の悪化や医療に対する誤解などが要因となり，医療機関ではクレーマーやモンスターペイシュントが大きな問題となっている．これまでにも類似した例はいくつかあるが，近年はマスメディアを介した情報が錯綜することで，一層拍車がかかっている．モンスターペイシュントへの対応には肉体的にも精神的にも疲労し，通常業務へも影響を与える．治療を巡るトラブルのみならず，医療ソーシャルワーカーがクレームの対象となることも少なくない．高圧的な態度で長期入院を要求する，いわゆるモンスターペイシュントの退院支援を行うにあたり組織的な対応を試みた．その結果，医療政策として推し進められている急性期医療や慢性期医療などの医療機関の機能分担に関する理解を得ると共に，不適切な長期入院を防ぐことができた．