先進的配光制御前照灯の情報提示によるドライバの衝突回避行動の分析

摘要

夜間の自動車の運転は昼間と比べ視環境が異なり，歩行者や障害物などの認知に高度な視覚認知能力が求められる．そのため，夜間の交通死亡事故は交通死亡事故全体約半数にのぼり，昼間，夜間の交通量の違いを考えると夜間の交通死亡事故は多い傾向にある．そこで近年では，前照灯による夜間運転の安全性向上を目的として，ハイビームと同等の照射範囲を有しながらも，前方に他車両が存在する場合は前方車両のドライバが眩惑しにくいような配光の制御が可能な前照灯として，Adaptive Driving Beam（ADB）が開発，実用化されている．また，新しい方式のADBの開発も進んでいる．例えば，PC用プロジェクタを利用し高解像度の空間パターンを描画できる前照灯の配光技術に関する研究がある．さらには，前照灯によるグラフィックアイコンの描画が可能な車両も登場しており，ドライバへの注意喚起への応用として実用化も進められている．さらに，より広く，障害物をより明るく照射するための前照灯の研究も行われており，先進的な配光制御が可能な前照灯の開発による夜間の運転支援が進められている．