密閉形ロータリー膨張機を搭載した廃熱利用ミニランキンシステム

摘要

近年，エネルギーの有効利用の観点から，再生可能エネルギーの利用やこれまで利用されることがなく廃棄されていた工場廃熱や余剰温泉廃熱，小規模なゴミ焼却施設の廃熱や建築廃材や瓦礫の処分に伴う廃熱の有効利用に関する関心が高まっている.しかし，これらのエネルギーは量的には大きいものの比較的低密度で存在している，したがって，利用可能なエネルギーへの変換には低い溫度落差で動作するエネルギー変換装置が求められる.このような観点から，著者らはスターリングサイクル機器の研究に取り組み，その有用性を明らかにしてきたこれらは、温度落差200K程度以上の熱源が必要であるが，これよりも低落差の場合は，熱交換器の高効率化が必須であり課題である.顕熱を利用するスターリングサイクノレ機器に対して，潜熱を利用するランキンサイクルはこの問題を解決する可能性がある.また，低温度落差の熱源は小規模に分散して存在していることが多く，これを回収するためのシステムは，小形でフリーメンテナンスが求められる.ところが，そのようなシステムは見当たらない.このような観点から，著者らは低落差の廃熱回収を行うためのメンテナンス不要なランキンサイクルシステムとこれに搭載する膨張機に関する研究を行ってきた.これまでにフロン系作動流体を用いた密閉形膨張機に関する研究を行い、軸出力700W，膨張機効率70%以上のシステム構築の可能性を実験により明らかにしている.本報では，例えば，温泉のような低温度落差の廃熱利用を想定した，100℃の熱源から500Wの軸出力が得られる小形ランキンシステムの可能性について調査したのでその内容をトピックスとして報告する.