靱帯張力と腹腔内圧を考慮した腰椎負荷計算モデルの構築

摘要

厚生労働省の平成25年の国民生活基礎調査 (厚生労働省，2013) によると，近年日本では，人口の高齢化や労働環境の変化に伴い，腰痛の有訴率が増加している．この調査によると，約10人に1人が腰痛を抱えており，男性と女性の有訴率では腰痛がそれぞれ1位と2位であり，多くの人々の健康を害している．日本国内では，腰痛患者への医療費に約820億円が必要であり(Itohet al,2013)，財政を圧迫している．また2013年に発表されたワシントン大学・保健指標評価研究所（IHME）と東京大学などによる共同プロジェクト (GBD, 2013) によると，日本における健康上の負担の上位10位以内に脳卒中や心臓病と共に腰痛が挙げられている．同様の問題は国外でも報告されており，例えば米国では，腰痛が全米における就労欠如要因の第1 位であり，その社会的損失は1000億ドルから2000 億ドルと試算されている (Katz, 2006) ．従って，腰痛問題の改善は健康寿命の増進や社会保障費の問題解決に繋がると考えられ，問題の解決が急務となっている．