路面性状による自転車走行・歩行への影響(多摩川サイクリングロードの研究4)

摘要

サイクリングロードとは自転車歩行者道で，その通行ルールや路面管理は地方自治体が行っている．多摩川サイクリングロードは東京側の多摩リバー50km と神奈川県川崎市側の多摩川サイクリングコース・多摩川河口青少年サイクリングコースである．それらの通行ルール・路面管理及び補修は自治体で行っているが，自転車・歩行者とも左側通行を明示しているのは多摩川サイクリングコースのみである．設置が1970年(昭和45年)のため幅員が2.0 mで，ひび割れが多数発生し，修復が不十分な縦ひび割れが数m以上連続する場所も数十か所存在する．一方著者は多摩川サイクリングロードにおける路面と通行について3軸加速度計を用いて調査し,路面にある穴で最大145m/s~2の加速度が計測された(木村,2008)．また自転車の速度抑制のためのインターロッキングブロックで 170m/s~2が測定され，インターロッキングブロックを避けるために右側通行する自転車も観察された(木村,2013)．インターロッキングブロック舗装による自転車の走行性については路面の平たん性が乗り心地や振動に影響を及ぼすことが指摘されている(樋口,2018)．近年増加するジョギングを含む歩行者とスポーツ自転車の走行が幅員2.0 mのサイクリングロードで対面通行するには難しい問題がある．そこでビデオカメラを使ったひび割れ率の測定と通行状況をビデオ撮影し，自転車走行と歩行に及ぼすひび割れ率の影響を調べ，自転車に取り付けた3軸加速度計により解析を行った．