自動車のシートフレーム素材の違いがヒトの心労や心地に与える影響について

摘要

自動車運転中における搭乗者に疲労を与える要因は，車内外の環境や車両の状態，ドライバーの運転技術や搭乗者の心理状態など様々である．中でも車両にかかる振動は搭乗者に常に暴露され続けることから，主要因の 1つと考えられている．そのため，車両の振動低減や乗り心地向上のために様々な研究や製品開発が行われている．その評価として，人に対する運転中の疲労やストレスの測定を行う必要がある．また現在の自動車に用いられているシートは鉄製のシートフレームを用いたものが主流であり，より軽量な素材を用いたシートフレームを用いることは車両の軽量化につながり運動性能の向上が期待できる．しかし，実際の自動車に用いるためには軽量な素材を用いたシートフレームが人の疲労や乗り心地に与える影響を調べる必要がある．田口の先行研究では自動車運転時，特に長距離運転時における疲労評価において尿中アドレナリンを主な評価指標として用い，計測を行っている．しかし，この指標を用いるためには実験中に複数回尿を採取する必要があり，被験者にかける負担が大きい．そこで本研究では現在使用されている鉄製のシートフレームを使用したシートと，軽量化されたシートフレームを使用したシートを，筋電図及び心電図を用いてMPFやR-R間隔のローレンツプロット解析することで疲労評価等を行い，2つのシートの比較を行った．